社会科学、9つの展望

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計量社会科学の勉強を進めるにあたって社会科学分野全体の展望を考えました。常に大局観を忘れずに学問に従事するために、ここにその結果を書きとめます。


『定性から定量へ』

社会に関する情報の爆発によりこれまで理論のみの構築に終わっていた社会科学がその理論を実証できるようになる。それに伴って恣意的な理論は評価されなくなり、既存のデータから実験的に得られるモデルや理論が評価されるようになる。

『マクロからミクロへ』

現在得られるデータに基づいて社会について記述しようとするとどうしても具体的な事実によったミクロな結論づけすることしかできない。小さな発見が積みかさらないうちはミクロな研究をひたすら繰り返すことが要求される。いずれそういった発見の外部妥当性を目指した研究や、ミクロな発見同士を統合していく動きが出てくる。

『publish->demo->deploy』

以前の社会科学は論文を出版することが目的であった。そして最近ではそれを小さな社会実験に適用して実社会への適応性を測る、といった取り組みが始まっている。今後こういった動きが進めば、実験的に適用するだけでなく(demo)、大きなスケールの組織や制度に自分たちの発見を組み込んでいくこと(deploy)が評価されるようになる。

『多様性を許容する社会システム』

これまでは社会システム(年金制度や社会保障制度)を人々に適応する際、万人が同じようなサービスを受けることが主流であった。これからは個々のニーズや制度設計者側の利益の最大化などを理由に、パーソナライズされたシステム設計が進む。これは『定性から定量へ』に書いたような社会に関するデータの増大により初めて可能になる。

『カームエンジニアリングとしての社会システム』

社会システムの実装が効率化(直近は主にIT化)されたり、そのインターフェイスが改善されることにより、これまで意識せざるを得なかった社会システムがより無意識のうちに機能していくようになる。この動きはこれまでに起こってきたことだが、今後社会科学者の中にDeployの意識が芽生えることによって社会システムのインターフェイスの研究やはより一層増える。

『研究の中心地の産業へのシフト』

『定性から定量へ』の流れの中で、データを持っている組織(会社、自治体)などが必然的に今よりも社会科学研究の中で力を持つようになる。それは研究がオープン化することと同値かというと、そうではない。一部の産業や会社にデータが集中している現状から、産業に研究の中心がシフトしてもソフトウェアのように分野の発達がオープンに行わる、ということはないかもしれない。だが、自然科学よりは象牙の塔が切り崩される速度は速いかもしれない。

『Social ScientistとSocial Engineer』

ScientistとEngineerが明確に区別されているように、「政治家」と「政治学者」、「ビジネスマン」と「経済学者」といった社会を実装する側の人間と社会を知る側の人間の区別が明確になる。区別の明確化によって両者のコラボレーションや二つの役割を横断的に行う人も増える。

『アート、社会活動を利用して倫理観の垣根を越える』

実社会での実験、Deployは危険性を伴ったり、倫理観を疑われることもある。その際に公的な意味合いを薄めたアートのような手法を使ってそれらをすることが倫理の壁を越える手法として使われる。

『社会科学傘下の学問間の方法論の共有』

これまで別の論法、分析手法を用いてきた社会科学の諸学問も、『定性から定量へ』の中で統計、計算幾何学的な手法を強いられる。分野によって多少の差異はあれど、基本手法に大きな共通性が生まれ、学問間のコミュニケーションが加速する。すでに行われているような自然科学からの手法の借用も加速する。


メモ書きなので抽象的でわかりにくいと思います。いずれ具体例/根拠を添えたきちんとした文章にします。とりあえず忘れないように。

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